深刻化している分譲マンションの管理組合役員のなり手不足を解消するため、国土交通省が住民や所有者以外の第三者も役員になりやすくするための基準づくりを始めた。7月には居住していない所有者もなれるようにしたばかり。今後、修繕や建て替えが必要なマンションが増えることに対処するためだが、高額な積立金をめぐるトラブルの対応など課題もある。
管理組合の役員資格は、それぞれのマンションの管理規約で定められているが、法律上の決まりはない。国交省が規約の見本となる「標準管理規約」を1982年に作り、この中で、組合役員は実際に居住している所有者の中から選ぶとされてきた。
しかし、所有者の高齢化や単身世帯の増加、さらに分譲マンションでも賃貸に出される部屋が増え、役員のなり手不足が深刻化。国交省は今年7月、居住していない所有者も役員になれるよう「標準管理規約」を変更した。
この検討の過程で国民の意見を募ったところ、マンション管理の専門家など、所有者でも住民でもない第三者も役員になりやすくしてほしいとの要望が相次いだ。国交省は今年度中にも第三者管理のための規約試案を新たに示す方針だ。
国交省によると、すでにマンション管理士や弁護士などの第三者が管理組合の責任者を務めている組合は全国で5%ほどある。同省マンション政策室は「不安解消のため、住民のチェック体制をどのように確立するかが導入の鍵」という。
マンションの管理組合役員らが情報交換をしている「江東・マンションふぉーらむ21」副会長の山田幹夫さん(61)は「管理組合は積立金など大金を扱う。トラブルが起きたとき、誰が責任を負い、どう対応するのか」と課題を挙げる。