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池上 そういう意味でもこれから注目すべきは海外での活動ですね。
大きな注目点は、社会的な格差が拡大 している中国です。
佐藤 池田氏は、江沢民元 国家主席と会談するなど、 諸外国の中でも中国との関 係を重視しまた。
しかし、 現状の中国では布教活動は 認められていません。ただ し、同国内には池田思想研 究所があちこちにあり、
潜 在的な学会員は非常に多 い。もし宗教が解禁されれ ば、すぐに一千万人の信者 が誕生してもおかしくあり ません。
現状でも日本を除 くアジア大洋州だけで百九十一万人の会員がいるそう です。
人口減少が続く日本 の会員数を超え、創価学会 はやがて中国でも無視でき ない規模の宗教団体になる と思います。
池上 なるほど。
佐藤 宗教には「困った時 の神頼み」のようなスポッ トで使うパターンAの他 に、
生活の全ての領域を宗 教で律して実践するパター ンBがある。創価学会は後 者。西欧のプロテスタント などはパターンAで、
パタ ーンBが実現できているの は、南米のカトリックや ンズー教、イスラムあたり でしょうか。
学会はこれらと同等の宗教的活力を持っている。池田氏は創価学会を世界宗教にさせた人物だと私は評価しています。
池上 世界宗教とは大きく でましたね。創価学会が他 の新興宗教と違い、世界宗 教であるという“内在的論 理”はどこにあると思いま すか。
佐藤 例えば手をかざすと 病気が治るとか特定の人の 能力に依存するのではな く、
ドクトリンを示すテキ スト(経典)があることで すね。そのテキストは、『聖 書』や『コーラン』と同じ ように、
誰でも努力をすれ ば読了できる分量でなけれ ばいけません。
創価学会で いえば、『人間革命』十二 巻、『新・人間革命』三十 巻、そして日蓮が書いたと 伝えられる御書がこれにあ たります。
『新約聖書』に あたるのが『人間革命』と 『新・人間革命』です。そ の完結以降、池田氏はもう 本を書いていない。
さらに 一昨年には創価学会独自の 御書を完成させ、自らの 『旧約聖書』をつくった。池 田氏の存命中に、テキスト化が完了しているのです。
池上 池田氏というカリスマを失い、教団から離れていく人も今後増えてい 思います。
実際、選挙 公明党の比例票はかつて 八百万票から六百万票に ち込んでいる。退潮傾向 続き、分裂などが起こる 能性はないでしょうか。
佐藤 今まで学会活動にも まり参加せず献金もしてい なかった人は、これが潮時 だと離れていくでしょう。
ただし本格的な分裂が起き るかといえば私は否定的で す。
分裂するには、かなり かちっとした別のドクトリンが必要になりますが、それが見当たらない。今は、集団指導体制が続いていくと思います。